天部(てんぶ)は、仏教において天界に住む者の総称で、仏教の護法神です。梵天、帝釈天、吉祥天、弁才天、伎芸天、鬼子母神、大黒天、四天王、竜王、夜叉、聖天、金剛力士、韋駄天、天龍八部衆、十二神将、二十八部衆などの天部が存在し、貴顕天部と武人天部に二分されます。仏教の尊像においては、如来、菩薩、明王、天という4区分の4番目にあたります。
ここでは、天部の梵字、ご利益、真言などを紹介していきます。
天部の梵字とご利益 一覧
阿修羅王(あしゅらおう)
八部衆または二十八部衆(中国では二十八天)に属する、仏教の守護神。略して修羅(しゅら)ともいう。
[ご利益]:仏教守護
[真言]:
[梵字 – 読み方]:ア
日天(にってん)
太陽を神格化したもの。観世音菩薩の変化身ともいい、密教では日天とよばれ、仏法守護の十二天の一。
[ご利益]:
[真言]:おん あぢちゃや そわか
[梵字 – 読み方]:ア
火天(かてん)
仏法擁護の神。密教では十二天の一。からだは赤く、髪は白く、仙人の形をし火炎中に座して右の二手に三角印と数珠、左の二手に水瓶(すいびょう)と仙杖(せんじょう)を持つ。
[ご利益]:
[真言]:おん あぎゃなえい そわか
[梵字 – 読み方]:ア
地天(ちてん)
十二天の一。釈迦(しゃか)の成道(じょうどう)の時、地中から出現してその証人となったとされる。
[ご利益]:
[真言]:おん ばりちびえい そわか
[梵字 – 読み方]:ヒリ
伊舎那天(いしゃなてん)
十二天の一。欲界の第六天にすむ天神。
[ご利益]:悪縁や腐れ縁などのわずらわしい人間関係を絶ち、離縁する。
[真言]:おん ろだらや そわか
[梵字 – 読み方]:イ
歓喜天・聖天(かんぎてん・せいてん)
大日如来もしくは観自在菩薩の権化身。
[ご利益]:難病治癒、夫婦和合、子受け
[真言]:オン・キリク・ギャク・ウン・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ギャク
帝釈天(たいしゃくてん)
仏法守護の主神。十二天の一つで、東方を守る。忉利天(とうりてん)の主で、須弥山(しゅみせん)上の喜見城に住むとされる。
[ご利益]:戦勝祈願、国家安泰、災難除去、立身出世、蓄財
[真言]:なうまく さまんだぼだなん いんだらや そわか
[梵字 – 読み方]:イー
広目天(こうもくてん)
四天王の一。十六善神の一。西方にあって仏法を守護する。悪人を罰して仏心を起こさせることをつかさどる。
[ご利益]:仏教守護、国家守護持国天
[真言]:オン・ビロバクシャ・ノウギャ・ヂハタエイ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:サ
毘沙門天(びしゃもんてん)
仏法守護の神。四天王・十二天の一。日本では七福神の一とする。須弥山(しゅみせん)の第4層中腹北側に住し、北方世界を守護。黄色の身で忿怒(ふんぬ)の相をし、甲冑(かっちゅう)を着け、左手に宝塔を捧げ、右手に矛または宝棒を持つ。財宝を施す神として施財天ともいわれる。
[ご利益]:戦勝祈願、鎮護国家、財宝福徳
[真言]:オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ベイ
多聞天(たもんてん)
四天王の一。常時、如来の道場を守り、法を聞くことが最も多いことからの名。北方を守る仏法守護の神将。甲冑(かっちゅう)をつけ、両足に悪鬼を踏まえ、手に宝塔と宝珠または鉾(ほこ)を持った姿で表される。日本では福徳の神。
[ご利益]:戦勝祈願、鎮護国家、財宝福徳
[真言]:オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ベイ
増長天(ぞうちょうてん)
四天王の一。須弥山(しゅみせん)の中腹に住し、南方世界を守護する神。像は赤色で甲冑(かっちゅう)をつけ、ふつう、右手に鉾(ほこ)を持ち左手を腰に当てる姿に表す。
[ご利益]:五穀豊穣
[真言]:オン・ビロダキャ・ヤキシャ・ヂハタエイ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ビ
広目天(こうもくてん)
四天王の一。十六善神の一。西方にあって仏法を守護する。悪人を罰して仏心を起こさせることをつかさどる。
[ご利益]:仏教守護、国家守護
[真言]:オン・ビロバクシャ・ノウギャ・ヂハタエイ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ビー
吉祥天(きっしょうてん)
福徳を授ける仏教守護の女神。父は徳叉迦(とくしゃか)、母は鬼子母(きしも)。毘沙門天(びしゃもんてん)の妻とされる。ふつう立ち姿の天女で、左手に如意(にょい)宝珠を捧げ、右手で施無畏印(せむいいん)をつくる。
[ご利益]:財宝金銭、五穀豊穣、商売繁盛、天下泰平、家内安全など
[真言]:オン・マカ・シュリエイ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:シリー
月天(がってん)
月宮殿に住し、密教では月天とよばれ、仏法守護の十二天の一。
[ご利益]:
[真言]:おん せんだらや そはか
[梵字 – 読み方]:シャ
持国天(じこくてん)
仏法の守護神、四天王の一。東方を守る。天衣を着て、右手に宝珠、左手に刀を持つ。
[ご利益]:国家安泰・鎮護国家
[真言]:オン・ヂリタラシュタラ・ララ・ハラマダナ・ソワカ
[梵字 – 読み方]:ヂリ
弁才天(べんざいてん)
音楽・弁舌・財福・智慧の徳があり、吉祥天とともに信仰された。仏教・ヒンズー教に取り入れられ、ふつう琵琶(びわ)を弾く天女の姿で表される。また、日本では財福の神として弁財天と書かれるようになり、七福神の一として信仰される。
[ご利益]:商売繁盛、知恵、財福、戦勝、恋愛成就、技芸上達、弁舌、長寿延命
[真言]:おん そらそばていえい そわか
[梵字 – 読み方]:ソ
水天(すいてん)
水をつかさどる竜神で、また西方の守護神。形像は左手に羂索(けんさく)・右手に剣を執り、亀の背に乗るものが多い。
[ご利益]:
[真言]:おん あはん はたえい そわか
[梵字 – 読み方]:バ
風天(ふうてん)
仏教では、西北方の守護神。十二天・八方天の一。白髪・赤身で甲冑を着け、右手に幢(はた)を持つ。風神。
[ご利益]:名誉、福徳、子孫、長生
[真言]:おん ばやべい そわか
[梵字 – 読み方]:バー
大黒天(だいこくてん)
七福神の一。米俵の上に乗り、頭巾(ずきん)をかぶり、打ち出の小槌(こづち)を持ち、大きな袋を肩に担ぐ像で表される。大国主命(おおくにぬしのみこと)と同一視されて広く信仰され、福徳の神とされる。
[ご利益]:財福、福徳
[真言]:オン マコキャラヤ ソワカ
[梵字 – 読み方]:マ
摩利支天(まりしてん)
陽炎を神格化した女神。摩利支天経に説かれる。常に身を隠し、護身・得財・勝利などをつかさどる。日本では武士の守護神とされた。
[ご利益]:護身除災、旅行安全、財福授与、武徳守護
[真言]:オン マリシ エイ ソワカ
[梵字 – 読み方]:マ
コメント