古い時代に活躍した人物には軍記物などでヒーローとして語られ、その後、能や歌舞伎、浮世絵などでさらに有名になったケースもあります。なかにはその伝説が、童話などによって現代の子どもたちにもよく知られている場合もあります。
このような童話の中の登場人物は、みな伝説上の人物かと思いきや、実在していたと思われる記録が残っていることや、モデルとなった神様がいることもあり、神社で神様として祀られている場合が多くあります。
いつの時代もヒーローに憧れる気持ちは変わらないということなのですね。
ここでは、そんな神様として祀られるようになった伝説の人物たちと、祀られている主な神社を紹介します。
神様になった伝説の人物一覧
吉備津彦命(きびつひこのみこと)
桃太郎伝説のモデルとして知られる神様。その屋敷跡に建てられた吉備津彦神社には、温羅(うら)と呼ばれる鬼を退治し、吉備国を平定した大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)を主祭神として祀られています。
- 吉備津彦(きびつひこ)神社(岡山県)
かぐや姫(かぐやひめ)
静岡県富士市に伝わる伝説では、かぐや姫は月ではなく富士山に登って消えるとされます。姫の養父・竹取の翁が祀られる滝川神社や、養母の嫗(おうな)を祀る今宮浅間神社など、富士市にはかぐや姫由来の神社が存在しています。
- 滝川神社(静岡県)
浦島太郎(うらしまたろう)
丹後の豪族・浦嶋子は『浦島太郎』のモデルとなる伝説を持ち、彼の業績を讃え神社が創建されました。乙姫の小袖や室町時代に制作された玉手箱も残されています。
- 浦嶋神社(京都府)
豊玉姫命(とよたまひめ)
浦島太郎が乙姫にもてなしを受ける話が、山幸彦と豊玉姫命の話と似ていることから、竜宮城の乙姫様のモデルとの見方もあります。
子宝や安産・子孫繁栄のご利益のほか、海神、水神として海上安全のご利益もあります。
- 豊玉姫命神社(鹿児島県)
- 若狭姫神社(福井県)
坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)
東北平定のため、征夷大将軍に任命された坂上田村麻呂には、鬼退治の伝説があります。鈴鹿山で悪事を働く大鬼・大嶽丸(おおたけまる)を鈴鹿御前と共に討伐。その遺徳が讃えられ田村麻呂を主祭神とする神社が創建されました。
- 田村神社(滋賀県)
藤原秀郷(ふじわらのひでさと)
俵藤太(たわらのとうた)とも呼ばれ、平将門の乱の平定など、数々の偉業を打ち立てました。その遺徳を讃えるべく彼の子孫が唐澤山神社を創建。
勝利の神様として知られ、秀郷の騎馬像が刺繍された「運気上昇守」が人気です。
- 唐澤山神社(栃木県)
坂田公時・金時(さかたのきんとき)
童話『金太郎』のモデル。足柄山から都へ上り、頼光(らいこう)四天王のひとりとして活躍します。公時神社では5月5日に、坂田公時にちなんだ大きなマサカリが飾られ、子どもの健やかな成長を祈願します。
- 公時神社(神奈川県)
源頼政(みなもとのよりまさ)
異形の妖怪・鵺(ぬえ)を退治したことで知られる源頼政は、平氏追討の際に敗死し、首塚が古河の地に建てられました。その後、鎮護の神として現在の頼政神社が創建されました。
文武両道の神徳があるとされています。
- 頼政神社(茨城県)
源頼光(みなもとのよりみつ)
大江山の大鬼・酒天童子や、土蜘蛛の討伐などで知られる源頼光。
彼は清和天皇の血を引く清和源氏の一族で、この一族は発祥の地とされる兵庫県の多田神社に祀られています。この地では現在、頼光をはじめとする武将たちに扮して甲冑を身に纏った人たちが市内を行列する源氏まつりが行われています。
- 多田神社(兵庫県)
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