日本神話の神様といっても色々。神様のなかには天つ神(あまつかみ)、国つ神(くにつかみ)と呼ばれる神々がいます。
天つ神とは神々が暮らす天界・高天原(たかまのはら)にいる神です。例えば天照大御神や迩迩芸命(ににぎのみこと)、建御雷神(たけみかづちのかみ)などが神話のなかで活躍しています。
国つ神とは、地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)に住んでいる神々です。代表的なのが大国主神(おおくにぬしのかみ)や猿田毘古神(さるたびこのかみ)などです。
初代・神武天皇は、天つ神の迩迩芸命と、国つ神である山の神の娘・木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)の両方の系譜を継ぎ、さらに海の神の娘・豊玉毘売(とよたまびめ)の系譜も受け継いだ存在です。
この後から神々の時代から人間の時代へと移っていったとされています。
ここでは、そんな神話に登場する神様たちと、祀られている主な神社を紹介します。
- 日本神話に登場する代表的な神様一覧
- 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと):天つ神
- 蛭子神(ひるこのかみ):天つ神
- 天照大御神(あまてらすおおみかみ):天つ神
- 月読尊(つくよみのみこと):天つ神
- 須佐之男命(すさのおのみこと):天つ神
- 櫛名田比売命(くしなだひめのみこと):国つ神
- 宗像三女神(むなかたさんじょしん):天つ神
- 大国主神(おおくにぬしのかみ):国つ神
- 建御雷神(たけみかづちのかみ):天つ神
- 猿田毘古神(さるたびこのかみ):国つ神
- 天宇受売命(あめのうずめのみこと):天つ神
- 迩迩芸命(ににぎのみこと):天つ神
- 木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ):国つ神
- 神武天皇(じんむてんのう)
- 倭建命(やまとたけるのみこと)
- 神功皇后(じんぐうこうごう)
日本神話に登場する代表的な神様一覧
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと):天つ神
本州や四国などの日本の国土や、山や風など多くの神々を生んだ夫婦の創造神。神代七世の最後に現れた神で、初めて具体的な事業を行いました。伊邪那美命の死後、伊邪那岐命は御祓によって「三貴子(みはしらのうずのみこ)」と呼ばれる、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と月読尊(つくよみのみこと)と須佐之男命(すさのおのみこと)を産み出したとされています。
*伊弉諾神宮(兵庫県)
蛭子神(ひるこのかみ):天つ神
伊邪那岐命と伊邪那美命が国生みを行ったとき、蛭(ひる)のような状態で生まれた子。
のちに民間で、七福神の航海の神様・恵比寿(えびす)神とされました。言わずと知れた「商売繁盛」の神様でもあります。
*西宮神社(兵庫県)、ゑびす神社(京都府)
天照大御神(あまてらすおおみかみ):天つ神
伊邪那岐命の御祓で左目から生まれた三貴子の第一神。父から高天原(たかまのはら)の統治を委託された神々の最高神で、太陽神とされる。
地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)に、孫の迩迩芸命を遣わしました。皇室の祖先神として伊勢神宮に祀られています。国家安穏、子孫繁栄、開運全般のご利益がある万能の神様です。
*伊勢神宮(三重県)、開成山大神宮(福島県)
月読尊(つくよみのみこと):天つ神
伊邪那岐命の御祓で右目から生まれた三貴子の第二神で、月を神格化した神様。
父から夜の統治を託されました。
月と縁が深いため占いの神とされることもあります。裏方やサポート役の仕事に従事する人、月経のある女性にもご利益があるとされています。
*伊勢神宮 月夜見宮(つくよみのみや・三重県)、松尾大社 摂社 月読神社(京都府)、出羽三山神社(山形県)
須佐之男命(すさのおのみこと):天つ神
伊邪那岐命の御祓で鼻から生まれた第三神。海の統治を命ぜられるも従わず、乱暴を働き、天照大御神の「天岩戸隠れ(天岩屋籠りとも)」という事態を引き起こしました。
その後、追放され葦原中国に行き、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して英雄となりました。クシナダヒメと結婚し、大国主神と結ばれた須勢理毘売命(すせりびめ)を授かったことから縁結びのご利益もあるとされています。
関東を開拓した神で、皇室にも崇敬され、氷川神社はその象徴的存在です。
神仏習合し「牛頭天王(ごずてんのう)」とも言われています。
*氷川神社(埼玉県)、須佐神社(島根県)
櫛名田比売命(くしなだひめのみこと):国つ神
山の神・大山津見神の孫娘で、八岐大蛇に生け贄として食べられそうになったところを、須佐之男命に助けられ、妻になりました。
*八重垣神社(島根県)
宗像三女神(むなかたさんじょしん):天つ神
天照大御神と須佐之男命の間に生まれた、市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)・多岐都比売命(たきつひめのみこと)・多紀理比売命(たぎりひめのみこと)の姉妹神。
海上交通の守り神で、市寸島比売命は七福神の「弁財天」と神仏習合されました。
市寸島比売命は面倒見の良い神様でも有名で、子どもの守護神ともされていて、子宝や芸能上達、財運のご利益もあります。
*宗像大社(福岡県)、日光二荒山神社(栃木県)、厳島神社(広島県)
大国主神(おおくにぬしのかみ):国つ神
大己貴命(おおなむちのみこと)や葦原醜男神(あしはらのしこおのかみ)など多くの異称がある、国造りの神様。須佐之男命の子孫で、因幡の白兎を助けるなど慈悲深い神様です。
須佐之男命が課した試練を乗り越え葦原中国の主になりましたが、天照大御神の子孫に国を譲ることに同意し、出雲の国に行きました。
産業開発のご利益のほか、言わずと知れた「縁結び」の神様で、あらゆるご縁を結んでくれます。
*出雲大社(島根県)、大神神社(奈良県)
建御雷神(たけみかづちのかみ):天つ神
天照大御神の使者として大国主神に国譲りを迫り、大国主神の子の建御名方神(たけみなかたのかみ)を倒しました。神武天皇東征では、愛剣を遣わして彼の窮地を救いました。
最も強い軍神ともされており、必勝、勝負事、武芸上達して厄難消除のご利益があるとされています。
要石に住まう大ナマズを御する存在として多くの錦絵に描かれており、地震を治める神様としても有名です。
*鹿島神宮(茨城県)、真山(しんざん)神社(秋田県)
猿田毘古神(さるたびこのかみ):国つ神
天孫降臨の際、先導をした神様。鼻が長く、目は赤く輝いていて天狗そっくりと言われています。のちに天宇受売命(あめのうずめのみこと)と夫婦になりました。
人生を切り拓きたい時、人生の歩み方、歩む方向性に迷った時などに繋がると進むべき道へ導いてくれる、道開きのご利益のある神様です。良縁結びや交通安全のご利益もあります。
*猿田彦神社(三重県・京都府)、白髭神社(滋賀県)
天宇受売命(あめのうずめのみこと):天つ神
天岩戸に隠れた天照大御神を出現させるために踊って誘い出した女神。大胆で大変陽気な状況を作った楽しい神様です。そのことから芸能の神の祖とされていて、天宇受売命の踊りが「神楽」の始まりなのだとか。巫女を神格化したものとも。
芸能上達や武芸守護のご利益のほか、未知の物事や敵対するものに打ち勝つ神徳があるとされています。”笑いに包まれた人生を歩みたい”、”自分のスキルを上げたい”という時に繋がると良いでしょう。
*猿田彦神社 佐留女神社(三重県)、賣太(めた)神社(奈良県)、戸隠神社(長野県)
迩迩芸命(ににぎのみこと):天つ神
天照大御神の孫(天孫)。天照大御神の命で、葦原中国を統治するため、三種の神器を携えて高天原から日向の高千穂峰に降り、天皇の祖先になりました(天孫降臨)。
そこで山の神の大山津見神の娘・木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)と出会って結ばれ、ひ孫に初代天王・神武天皇が生まれました。
*霧島神宮(鹿児島県)
木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ):国つ神
迩迩芸命の妻。大変な美女で迩迩芸命が一目惚れしたと言われています。
子を一夜で妊娠したため迩迩芸命に自身の子であるか疑われ、天孫の子であることを証明するため火の燃え盛る産屋で三人の子を無事出産したという、激しい気性の持ち主でもあります。この話から「火の神」ともされていて、父である山の神・大山津見から富士山を譲られました。富士山に鎮座しながら東日本一帯を守護しています。
また「水の神」ともされていて、あらゆるものの守護神として代表的な女神様です。
*富士山本宮 浅間神社(せんげんじんじゃ・静岡県)、日本全国約1300社の浅間神社
神武天皇(じんむてんのう)
天下を治めるため日向から旅に出ました。苦難を乗り越え熊野に着き、霊剣や八咫烏の案内によって大和の橿原に到着し、初代天皇として即位しました。
*橿原神社(奈良県)
倭建命(やまとたけるのみこと)
第12代景行天皇の皇子で仲哀天皇の父。武勇に優れ、九州の熊襲(くまそ)、出雲、東国などで戦い、平定に貢献。
国家安穏、開運招福のご利益があり、出世開運を願う時などに繋がると良いとされます。
携えた神器・草薙御劔(くさなぎのみつるぎ)は熱田神社に祀られています。
*熱田神宮 相殿(愛知県)、大島神社(大阪府)
神功皇后(じんぐうこうごう)
第14代仲哀天皇の皇后で、第15代応神天皇の母。仲哀天皇と共に出兵した際に天皇が急死し、臨月の体にもかかわらず遠征に成功。熊野と朝鮮半島をを従わせ、筑紫に帰還したのち、無事に応神天皇を出産しました。出産後も長く政治を行い、揺るぎない信念のもと我が子を教え導きました。
御子の応神天皇は戦いの神・八幡神として主に武士から篤い信仰を集めたことから、神功皇后も広く信仰されるようになりました。子育ての神様であり、働くお母さんの味方でもあります。
*宇佐神宮(大分県)
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