稲荷祝詞は神さまに対して奏上(唱える)する祝詞(のりと)の一つです。御神徳を称え、その恩恵を授かります。ここでは、「稲荷祝詞」「稲荷祝詞 略詞」「稲荷大神秘文」「稲荷五社大明神祓」を紹介しています。
祝詞は、『言霊(ことだま)』と称される霊力を持ち、口に出して唱えることにより、その霊力が発揮されるとされています。
稲荷祝詞(いなりのりと)- 全文と読み方
かけまくも かしこき いなりのおおがみの
掛巻も恐き 稲荷大神の
おおまえに かしこみ かしこみももうさく
大前に恐み恐みも白く
あしたに ゆうべに いそしみ つとむる
朝に夕に 勤み務る
いえの なりわいを
家の産業を
ゆるぶことなく おこたることなく
緩事無く怠事無く
いやすすめに すすめたまい
弥奨めに奨め賜ひ
いやたすけに たすけたまいて
弥助に助け賜ひて
いえかどたかく ふきおこさしめたまい
家門高く令吹興賜ひ
かきわに ときわに いのちながく
堅磐に常磐に命長く
うみのこの やそつづきに いたるまで
子孫の八十連属に至るまで
いかし やぐわえのごとく たちさかえしめたまい
茂し八桑枝の如く令立槃賜ひ
いえにも みにも まがかみの
家にも身にも枉神の
まがことあらしめず あやまちおかすことの
枉事不令有 過犯す事の
あらむをば かむなおひおおなひに
有むをば神直日大直日に
みなおし ききなおし まして
見直し聞直し座て
よの まもりひの まもりに まもりさきわえたまえと
夜の守日の守に守幸へ賜へと
かしこみ かしこみももおす
恐み恐みも白す
稲荷祝詞 略詞 – 全文と読み方
かけまくも かしこき
掛巻も恐き
いなりのおおがみの おおまえに
稲荷大神の大前に
かしこみ かしこみ ももうさく
恐み恐みも白く
おおがみの あつき ひろき
大神の厚き弘き
みたまのふゆに よりて
恩頼に依て
いえかどを おこさしめたまい たちさかえしめたまい
家門を令起賜ひ令立栄賜ひ
よの まもりひの まもりさきえ たまえと
夜の守日の守に守幸へ賜へと
かしこみ かしこみももうす
恐み恐みも白す
稲荷大神秘文(いなりだいじんひもん)- 全文と読み方
それかみは ゆいいつにしてみかたなし きょにしてれいあり
夫神は 唯一にして御形なし 虚にして霊有
あめつちひらけてこのかた くにとこたちのみことを はいしまつれば
天地開闢て此方 国常立尊を拝し奉れば
てんにつくたま ちにつくたま ひとにやどるたま とようけのかみのながれを
天に次玉 地に次玉 人に次玉 豊受の神の流れを
うがのみたまのみことと なりいでたまふ ながくしんのうじょうじゅ なさしめたまへば
宇賀之御魂命と 生出給ふ 永く神納成就 なさしめ給へば
てんにつくたま ちにつくたま ひとにやどるたま みすえをうけしんずれば
天に次玉 地に次玉 人に次玉 御末を請け信ずれば
てんこ ちこ くうこ しゃくこ びゃっこ いなりのはちれい
天狐 地狐 空狐 赤狐 白狐 稲荷の八霊
ごこうのしんの ひかりのたまなれば だれもしんずべし しんがんをもって
五狐の神の 光の玉なれば 誰も信ずべし 心願を以って
くうかいれんらい こくうのたま やこうのしん きょういをあらため かんたからをもって
空界蓮來 高空の玉 神狐の神 鏡位を改め 神宝をもって
しちようきゅうせい にじゅうはっしゅく とめぼし あるほどのほし
七曜九星 二十八宿 當目星 有程の星
わたくしをしたしむ いえをしゅごし ねんげつじつじ わざわいなく
私を親しむ 家を守護し 年月日時 災無く
よのまもり ひのまもり おおいなるかな けんなるかな
夜の守 日の守 大成哉 賢成哉
いなりひもん つつしみもうす
稲荷秘文 慎み白す
稲荷五社大明神祓(いなりごしゃだいみょうじんはらえ)- 全文と読み方
たかまがはらに かむづまります
高天原に 神留坐す
すめらがむつかむろぎかみろみのみことをもちて
皇親神漏岐神漏册の命を以て
とよあしはらのみずほのくに いつくさのたなつもののみたま
豊葦原の瑞穂の國 五穀の種津物の神霊
いなりごしゃだいみょうじんへ しづまります
飯成五社大明神へ 鎮坐す
うがのみたまのみこと おおなむちのみこと おおたのみこと
稲蒼魂命 大巳貴命 太田命
おおみやひめのみこと うけもちのみこと
大宮姫命 保食命
いつはしらのおおおんかみ あめよりいつくさのみおやとして
五柱の大恩神 天より五穀の元祖として
あまねくたねをくだし ちよよろづまで
普く種を降 し 千代萬代まで
あきのたりほ やつかにしない
秋の垂穂 八握に莫々
かみはみかどをはじめまつりうつし あをひとくさをひたし
上者帝を奉始顕 主蒼生を養し
こころのままにいさぎよく うみのこのやそつづきまで
心の儘に潔く 生の子の八十續まで
うみなしたまふと はらいもうしうやまいまつれば
生成賜ふと 祓申奉敬れば
たつはるのあきかぜ つうきじざいの いさほしは
立春の秋風 通気自在の 徳は
あかやすせいかの すみによきかぜ
明安正家の 住に能風
あきのかみみちに いでまつり ひかりみな
秋の神道に 奉出 光皆
いなりごしゃだいみょうじんのいさほしなりと
稲荷五社大明神の徳なりと
かしこみかしこみも もうせば
恐み恐みも 申せば
とくさのたなつもの ごこくじょうじゅせずということなし
十穀の種津物 五穀成就不致と云事なし
いのるところねがうところ まもりさきはえたまひ
祈處願處 守幸給ひ
うえなきみたま しんとうかじ
無上霊寶 神道加持
稲荷祝詞の効果
お稲荷様のもたらすご利益は、もともと五穀豊穣や豊作祈願でしたが、歴史の流れとともに非常に幅広いものとなりました。祀る人や場所により、さまざまなご利益が得られると言われています。
伏見稲荷大社は、商売繁盛の神さまとして有名で、さらに、芸事や縁結び、衣食住や家内安全、所願成就など、多くのお願い事が叶うとされています。
また、伏見稲荷大社の狐は4種類のものをくわえており、くわえてるものによりご利益が違うそうです。それぞれのくわえているものとご利益は以下のとおりです。
狛狐の口にあるものとご利益
- 巻物をくわえる狛狐:知恵に関わるご利益
- カギをくわえる狛狐:稲倉のカギを象徴し豊穣のご利益
- 丸い珠をくわえる狛狐:豊穣のご利益
- 稲穂をくわえる狛狐:五穀豊穣のご利益
稲荷祝詞を奏上する際のご作法
神道の流派により違いがあるかもしれませんが、一般的な祝詞を唱える時の作法は以下のとおりです。手.口を清めてから行いましょう。
- 二拝(お社や神棚に 2度、深くお辞儀をします。)
- 稲荷祝詞を奏上(稲荷祝詞を読み上げます。)
- 二拝(2度、深くお辞儀をします。)
- 二拍手(「ぱんぱん」と二度手を叩きます。)
- 一拝(最後に 1度、深くお辞儀をします。)
奏上するときは、一言一句をしっかりと、心を込めて読み上げるようにしましょう。
以上、『稲荷祝詞【全文と読み方】効果と作法』を紹介しました。
まずは、穢れを祓い、気持ちを落ち着かせて、清い心で神様にお願いすることが重要です。
気持ちが清らかになれば運気も向上するはずです。ぜひお試しください。
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