5. 民間信仰・守護神（道祖神・庚申・七福神など）
人々の暮らしに身近で、厄除け・縁結び・福徳招来などを願って信仰された神々。日本独自の神仏習合や庶民信仰と強く結びついています。
- 道祖神（どうそじん） 道の辻や村境に祀られる神。旅の安全・悪霊退散・縁結びの神として広く信仰された。
- 庚申神（こうしんしん） 庚申信仰に基づく守護神。三尸（さんし）の虫が天帝に人の罪を告げないよう、夜通し祀られた。
- 恵比寿神（えびすしん） 漁業・商売繁盛の神。七福神の一柱であり、事代主神と習合する場合が多い。
- 大黒天（だいこくてん） 財福・食糧・豊穣の神。大国主神と習合して信仰され、七福神としても有名。
- 毘沙門天（びしゃもんてん） 武神・財宝神。インド起源で仏教と習合し、七福神の一柱として庶民信仰を集める。
- 弁才天／弁財天（べんざいてん） 音楽・芸能・財運の神。唯一の女性の七福神として人気が高い。
- 布袋尊（ほていそん） 笑福・円満の神。中国の禅僧を神格化した七福神で、笑顔と福袋が象徴。
- 寿老人（じゅろうじん） 長寿の神。南極星の化身とされ、長命と健康を授ける。
- 福禄寿（ふくろくじゅ） 福・禄・寿の三徳を授ける神。寿老人と混同されることもある。
- 布都御魂（ふつのみたま） 剣そのものが神格化された存在で、武神信仰の対象。香取・鹿島の信仰とも関係。
- 三宝荒神（さんぽうこうじん） 竈・台所・火の守護神。家内安全・厄除の民間信仰で広く崇敬。
- 塞の神（さいのかみ） 村境・路傍に祀られる境界神。悪霊侵入を防ぎ、旅の安全・縁結びをもたらす。
6. 仏教習合・外来神（八幡神・天神・歓喜天など）
神仏習合や中国・インド由来の信仰を背景に、日本で独自に発展した神々。中世以降、庶民から武士に至るまで幅広く信仰されました。
- 八幡神（はちまんしん） 応神天皇を神格化した武運の神。神仏習合では「八幡大菩薩」とされ、全国の八幡宮で祀られる。
- 歓喜天（かんぎてん／聖天） インドのガネーシャ由来。夫婦和合・商売繁盛の神として信仰され、聖天信仰の中心。
- 妙見菩薩（みょうけんぼさつ） 北極星・北斗七星の神格化。武運長久・方位除けの神として武家に厚く信仰された。
- 大日如来（だいにちにょらい） 真言密教の根本仏。宇宙そのものを象徴し、天照大神と同一視されることもある。
- 不動明王（ふどうみょうおう） 大日如来の化身。煩悩を断ち切り、修行者を護る忿怒尊として火難除けや立身出世の信仰対象。
- 吉祥天（きっしょうてん） インドのラクシュミーに由来。美・豊穣・繁栄を授ける女神。
- 摩利支天（まりしてん） インドのマリーチ由来。陽炎を神格化した尊で、隠形・勝運・戦勝の守護神。
- 愛染明王（あいぜんみょうおう） 煩悩を悟りに転ずる力を持つ明王。恋愛成就や良縁、事業繁盛の神としても人気。
- 観音菩薩（かんのんぼさつ） 慈悲の象徴。人々の苦しみに応じて姿を変えて救う存在で、日本では三十三観音信仰として広まる。
- 地蔵菩薩（じぞうぼさつ） 六道を救済する導師。子ども・旅人・道端の守り神として親しまれる。
- 荼枳尼天（だきにてん） インドのダーキニー起源。稲荷信仰と習合し、白狐に乗る姿で描かれる。富・豊穣・予言の神秘的存在。
- 韋駄天（いだてん） インドのスカンダ神に由来。俊足の神として知られ、盗難除け・足腰守護の信仰対象。
- 迦楼羅天（かるらてん） ガルーダ神に由来する火焔を纏った守護神。龍を制する力を持ち、仏法守護の存在として信仰。
7. 歴史的人物の神格化（神武天皇・徳川家康など）
日本史上の偉人や為政者が、死後に神として祀られた例。政治的背景や民衆信仰と結びつき、全国の神社で今も崇敬を集めています。
- 神武天皇（じんむてんのう） 初代天皇。橿原神宮に祀られる建国の祖であり、神話と歴史を結ぶ象徴的存在。
- 応神天皇（おうじんてんのう） 八幡神として神格化された天皇。武家の守護神として信仰が広まった。
- 聖徳太子（しょうとくたいし） 仏教興隆と国家体制の整備に尽力。各地で太子信仰が広まり、守護神的に祀られる。
- 菅原道真（すがわらのみちざね） 学問の神「天神」として全国の天満宮に祀られる。受験合格祈願の中心的存在。
- 楠木正成（くすのきまさしげ） 南朝の忠臣として崇敬され、湊川神社などで「大楠公」として神格化。
- 徳川家康（とくがわいえやす） 東照大権現として日光東照宮に祀られる。江戸幕府の祖として強い神格を持つ。
- 豊臣秀吉（とよとみひでよし） 豊国大明神として祀られた。京都・豊国神社などで神格化された英雄。
- 明治天皇（めいじてんのう） 明治神宮に祀られる。近代日本の象徴として崇敬が厚い。
- 日本武尊（やまとたけるのみこと） 東征の英雄。各地の白鳥伝承と結びつき、武勇・道開きの神として祀られる。
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