映画や漫画・アニメでは退治されてしまう敵として登場する「鬼」や「妖怪」。そんな彼らを祭神として祀る神社は意外と多く存在します。例えば桃太郎に登場する鬼のモデルとされる温羅(うら)や大江山を拠点に悪事を働いた鬼の棟梁・酒呑童子(しゅてんどうじ)など、人間に悪さをした鬼であっても、神様として祀られています。このような鬼や妖怪たちは、倒されたあと、その身を葬った場所に神社が建てられたケースや、ゆかりの品を奉納する神社ができたケースが多いのです。
かつての悪者は、現代では私たちに神徳を授けてくれる神様として丁重に祀られています。
ここでは、そんな鬼や妖怪と、祀られている主な神社を紹介します。
神社に祀られた『鬼』と『妖怪』一覧
温羅(うら)
もともと温羅は渡来人で、製鉄技術などを伝えた人物でした。吉備の文化発展に寄与しましたが、吉備津彦との争いに敗れ鬼のイメージがついたのです。この戦いが『桃太郎』のモデルになったとされています。
*温羅神社(岡山県)
両面宿儺(りょうめんすくな)
人々から略奪を行っていた異形の怪人・両面宿儺。前後に二つの顔を持ち、日本書紀では両腕と両足も前後に二対あったとされ、弓矢・剣を持った姿とされます。
悪事を働き討伐されましたが、英雄としての一面もあります。彼は位山(くらいやま)の鬼を討伐したことが伝わっており、退治した鬼の頭髪は水無(みなし)神社に奉納されています。
*水無神社(岐阜県)
牛鬼(うしおに・ぎゅうき)
西日本の海辺に現れる、頭が鬼で胴体が牛の姿をした妖怪・怪物。地獄の獄卒である牛頭(ごず)もこれにあたるとされます。
かつて、主に海岸に現れ浜辺を歩く人間や家畜を襲っていましたが、山伏によって退治されたという説話があります。
「うわじま牛鬼まつり」は厄払いの効果があるとされています。
*和霊神社(愛媛県)
酒呑童子(しゅてんどうじ)
丹波国・大江山を拠点とした鬼の棟梁で、悪行の限りを尽くしたと言われています。源頼光と頼光四天王により討伐され、埋葬された地が現在の首塚大明神(京都府)です。
酒呑童子が今までの所行を悔い、首から上の持病がある人を助けたことから、頭部の病に神徳があるとされています。
*首塚大明神(京都府)
玉藻前(たまものまえ)
鳥羽上皇に寵愛された九尾の狐・玉藻前。安倍泰成に姿をあばかれ、栃木県で討たれたとされています。その玉藻前の神霊を祀り、神社が建てられました。
*玉藻稲荷神社(栃木県)、九尾稲荷神社(栃木県・那須温泉神社境内)
鵺(ぬえ)
トラツグミのような声を上げ、猿の顔、狸の胴体、虎の手足、尾は蛇という異形の妖怪・鵺。翼は無いが空を飛ぶともされました。鵺が飛び回る際、雷が鳴ることから「雷獣」とされることもあります。
平安時代、その討伐を命じられた源頼政は見事成功し、その功績を称えられ、鵺大明神が建立されました。
*鵺大明神(京都府)
河童(かっぱ)
水の中に引っ張り込まれる悪戯をする伝説が知られる河童。その悪戯が転じて、不幸を引っ張り幸福へと変えてくれる幸福招来のご利益があるとされ、信仰されるようになりました。
*皇産霊(みむすび)神社(福岡県)
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