日本のみならず世界にはたくさんの迷信やジンクスと言われるものがあり、幸運や不幸の兆しとして考えられています。古くから伝わってきている迷信には意外な意味や由来があるようで、マナーや作法を諭したり、悪い行いを戒めるために使われ、伝わったものもたくさんあるようです。
ここでは、日本に伝わる数多くの迷信を集めて一覧にまとめています。
迷信を真剣に信じている人がいる一方で、迷信を全く信じてない人も多くいると思いますが、気になる方は日本にはどんな迷信あるのかチェックしてみてはいかがでしょうか?
日本の迷信一覧
日常の中で、ふと耳にする不思議なタブーや言い伝え。それらの多くは、昔の人の知恵や教訓から生まれ、今もなお地域ごとに語り継がれています。
🌿 ご注意ください|迷信に関する補足
※このページは、ネット上で語られている迷信・言い伝えをジャンル別にまとめたものです。科学的な根拠があるとは限らず、地域や家庭によって内容に違いがあることをご了承ください。
実際に信じる・信じないは個人の自由ですが、こうした迷信を通じて「昔の人の価値観」や「暮らしの知恵」に触れてみることも、ひとつの楽しみ方かもしれません。
季節・時間にまつわる迷信
朝のクモは殺してはいけない?
「朝の蜘蛛は敵でも逃がせ、夜の蜘蛛は親でも殺せ」ということわざが示す通り、昔から朝のクモは縁起が良いとされてきました。
- 朝にクモを見ると「来客」や「金運の兆し」があるとされ、そのままにしておくのが良いとされています。
- 一方で、夜にクモを見かけると「泥棒が来る前兆」や「不吉なことが起きる」と考えられ、退治すべきと信じられていました。
- 神様と悪魔の使いにたとえ、「朝のクモは神の使い」「夜のクモは悪魔の使い」と語られることもあります。
朝に「サル」と言ってはいけない
日本各地に伝わる迷信のひとつに、「朝に『サル(猿)』という言葉を口にするのは縁起が悪い」というものがあります。
- 語呂合わせで「去る(サル)」=「縁が離れる」と結び付けられており、良い運や人との関係が去ってしまうと考えられています。
- 特に年配の方に教えられた人が多く、地域差はあるものの、関東地方でもこの迷信を耳にしたという声が多くあります。
夜に爪を切ると親の死に目に会えない
この迷信は特に有名で、多くの人が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
- 昔は照明が暗く、夜に爪を切るとケガをしたり深爪になるリスクがありました。そのため「夜の爪切りは慎むべき」と戒めとして伝わったと考えられています。
- また「世を詰める(よをつめる)」という言葉遊びから、不吉な意味合いで受け取られてきたとも言われています。
夜に洗濯物を干すと体が弱くなる
夜に洗濯物を干すと不吉だとされる迷信もあります。
- 一説には、夜に現れる妖怪「ウブメ」が子どもの洗濯物に血をつけて目印にし、命を奪ってしまうという言い伝えがあることから来ていると言われます。
- また、死人の衣類を夜に干す風習があったため、「縁起が悪い」と避けられるようになったともされています。
新しい靴は夕方以降におろしてはいけない
新しい靴を履き始めるタイミングにも、昔ながらの言い伝えがあります。
- 夕方以降に新しい靴をおろす際は、靴に「炭」を少しつけてから履くという風習もある地域があります。
- また、夜に新品の靴を履くことは「夜職の人」と誤解されるからという社会的背景もあったそうです。
- 靴を履く前にトイレで「トントン」と軽く打ち付けて邪気を払う、あるいは「つるかめ」と3回唱えるとよいといった守りの行動も伝えられています。
夜に梅干しを食べてはいけない
梅干しは健康に良い食材として知られていますが、夜に食べるのは避けるべきという迷信も。
- これは「夜=冥界」との関わりがあるとされ、保存食である梅干しを夜に食べると運気が落ちると信じられてきたようです。
- 明確な根拠はなく、地域によっては気にしないところもあります。
忌中の外出は控えるべき?
身近な人が亡くなった後の行動についても、注意が必要とされる言い伝えがあります。
- 特に「亡くなってから1年ほどは夜に出歩いたり遠出をしてはいけない」といわれるのは、「霊に引かれてしまう」「まだ心が不安定な状態だから」という考えに基づいています。
- このような迷信は、喪に服す姿勢としても昔から大切にされてきた価値観と結びついているようです。
夜に「塩」と言ってはいけない?
一部の地域では、日没後に「塩」という言葉を使うのは避けるべきとされています。
- 例えば、「塩」の代わりに「浪の花(なみのはな)」と呼ぶ風習がある地域も。
- 刺青文化と関連づけて「夜に塩と言うな」と諭されたというエピソードもあり、何らかの結界的・呪術的な意味合いが込められていると考えられています。
夜に口笛を吹くと?
「夜に口笛を吹くと蛇が来る」「幽霊が来る」「泥棒を呼ぶ」など、さまざまなバリエーションがある迷信です。
- 一説には、夜の静寂を破る音がご近所迷惑になったための戒め。
- また、夜間に口笛が“夜盗”や“身売り”の合図とされていたという歴史的背景も。
- 蛇や妖怪、天狗にさらわれるなどの恐ろしい伝承もありますが、実際には「夜は静かに」という生活の知恵が元になっているようです。
お盆に泳いではいけない?
お盆の時期は、故人の霊がこの世に戻ってくるとされるため、海や川で泳ぐことはタブーとされる地域があります。
- 「猿候(えんこう)に引かれる」「霊に足を引かれる」といった言い伝えがあり、命に関わる危険を回避するための教えでもあります。
- また、お盆の迎え方にも地域性があり、ピラミッド型の「盆山」を砂で作ったり、迎え火や送り火を家の前で焚く風習も。
- 赤とんぼはご先祖さまの乗り物とされ、お盆の時期には捕まえてはいけないという伝承も。
初物を食べたら東を向いて笑え
「初物七十五日」と言われるように、季節の初物を食べると寿命が延びるという縁起かつぎがあります。
- 特に、東(太陽が昇る方角)を向いて笑うことで「福を呼び込む」とされる風習は、古くから続くもの。
- 笑顔と方角に意味を込めることで、幸福の訪れを祈願する素敵な習慣です。
節分に太巻きを丸かぶり
近年では全国的に知られるようになった「恵方巻」の習慣。
- 一説には、戦国時代の武将が巻き寿司のようなものを食べて出陣し勝利したことに由来すると言われています。
- しかし実際には、1977年に大阪の海苔業者が販売促進の一環として仕掛けたキャンペーンが起源とされています。
秋に財布を買ってはいけない?
「秋=空き」という語呂合わせから、秋に財布を買うと中身が空っぽになるという迷信も。
- 縁起担ぎとして、春(張る財布)に新調するのが良いとする考えも広まっています。
- とはいえ、大切なのは財布を大事に扱う気持ちなのかもしれません。
厄年に出産すると?
厄年に出産すると「厄が落ちる」とされる一方で、「その厄が子どもに移る」とも言われる地域もあります。
- 対処法として、一度“子を捨てて拾ってもらう”という形式的な儀式を行う習慣があり、河原や他人の家の玄関に寝かせて象徴的に拾ってもらう風習も。
- 命の重さや運命を大切にする思いが込められた儀式的な迷信です。
節句の迷信と地域風習
節句(3月3日など)の時期にも独特の言い伝えがあります。
- 「雛人形をいつまでも出しっぱなしにしていると婚期が遅れる」といった縁起かつぎ。
- 一部地域では「笹餅」を食べる習慣がありますが、逆に「笹を使わない」風習の地域もあり、その背景には「笹で目を傷つけて声を上げ、命を落とした高貴な人がいた」などの伝承が残っています。
動物にまつわる日本の迷信|言い伝えと文化の記憶
動物たちは、私たち人間の生活と密接に関わってきました。その中には、昔から言い伝えられてきた「動物に関する迷信」が数多く存在します。今回は、日本各地で語られてきたユニークな動物の迷信を紹介します。
蟹|「字が下手になる」「平家の霊が宿る」
- 蟹を殺すと字が下手になるという迷信は、子どもへのしつけの一環だったのかもしれません。
- 瀬戸内海では、人面模様のある「平家蟹(へいけがに)」は平家の落武者の化身とされ、甲羅を貝殻で覆う姿が“源氏の追手から逃れるため”だと信じられてきました。
海亀|手厚く葬ると大漁に
- 千葉県銚子などの沿岸地域では、海亀の死骸を丁寧に土葬すると「大漁になる」とされ、海亀は「正覚坊(しょうがくぼう)」という僧侶のような尊称で呼ばれることもあります。
タコ|陸に上がる伝説と不思議な行動
- 「焚き火の跡の炭を食べに来る」「芋を狙って陸に上がる」など、各地にユニークなタコの言い伝えがあります。
- 九州地方では、血の匂いを嗅ぎつけて人間の血を吸うために陸に来るという“蛸天神”の伝承も。迷信というよりも伝説的要素が強いエピソードです。
魚|骨が喉につかえた時の対処法?
- 魚の骨が喉に刺さった時、「象牙で喉をこすると取れる」「頭の上に骨を乗せると取れる」などの民間療法的な迷信が語り継がれています。
鳥|つばめ、スズメ、雄鶏の言い伝え
- ツバメが低く飛ぶと雨の兆しと言われるのは、湿気で虫が低く飛ぶため、餌を追っている行動が関係しているとされています。
- スズメの「赤い内臓部分を食べると乗り物酔いする」という珍しい言い伝えも。
- 海外では、雄鶏が“溺死者探し”に使われるという民話もあるようです。
犬|足袋を履いた犬は不吉?
- 「手足の先が白い犬(足袋を履いたような犬)は長生きしない」などの言い伝えがありましたが、実際には元気に育っているという声も多く、迷信の信ぴょう性は薄いようです。
馬|脚の模様による吉凶
- 「三本白(脚先が3本白い馬)は飼い主を殺す」という迷信は、国語の教科書に取り上げられたことも。
- 一方で、競馬界では「後ろ足一本白い馬」は強運の象徴とされるなど、まったく逆の評価も存在します。
猫|不吉から吉兆まで幅広い言い伝え
- 足袋を履いた猫はネズミを取らない、黒猫が横切ると不幸が訪れる、猫が死人をまたぐと霊が目覚めるなど、猫にまつわる迷信は非常に多彩。
- 一方で、「金目銀目の猫は天気を当てる」「雄の三毛猫を船に乗せると大漁」など、吉兆の象徴とされる面も。
- 猫が顔を洗うと雨が降るというのは、湿度によるストレス反応という科学的な解釈もあります。
ヤモリ・イモリ|家を守る存在
- ヤモリ(家守)は“家を守る縁起の良い生き物”として、大切に扱われます。
- イモリ(井守)は水辺を守る生き物とされ、ボウフラを食べる益虫としても知られています。
狐|化かしと知恵の象徴
- 狐に道に迷わされたときは「タバコを一服すれば戻れる」「風の吹く方に進めば抜けられる」という言い伝えがあります。
- 狐が眉毛の本数を数えて化かすという迷信から、唾で眉を貼りつけてごまかす風習も。
- 「眉唾物」という表現も、こうした言い伝えに由来しているとされています。
蜘蛛|神か悪魔か、朝と夜で異なる意味
- 朝の蜘蛛は「神の使い」「金運の象徴」とされ、殺すべきではないと伝えられています。
- 夜の蜘蛛は「悪魔の使い」「泥棒の予兆」とされ、逆に殺すべきという迷信もあります。
蛇|縁起物と恐れの象徴
- 蛇の抜け殻を財布に入れると金運が上がるという迷信は有名です。特に“目のついた抜け殻”は貴重とされます。
- 「白蛇の夢を見ると幸運」「ヘビを指差すと指が腐る」など、神秘性と畏怖が入り混じる存在。
- 古い酒蔵に棲む“うわばみ”=大蛇の伝説は、子どもを危険から遠ざけるための戒めだったと考えられます。
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