経典(きょうてん)とは、仏典のひとつであり、釈迦が説いた教え(法)を記録した文章・書物・経文のことです。
ここでは、経典の文章である経文(きょうもん)の中から読みやすい短文のものを全文に意味や内容を添えて紹介していきます。
開経偈【かいきょうげ】
お経を開いて読経する前に唱えます。
無 上 甚 深 微 妙 法
むじょうじんじんみみょうほう
百 千 万 劫 難 遭 遇
ひゃくせんまんごうなんそうぐう
我 今 見 聞 得 受 持
がこんけんもんとくじゅじ
願 解 如 来 真 実 義
がんげにょらいしんじつぎ
『この上もなく深く尊いこの教えにめぐり合うことは、難しいことなのに、私はこのお経をいただくことができました。この上ない仏法をよろこび、お釈迦さまのお心を大切にし、お経を唱えさせていただきます。』という意味です。
懺悔文【ざんげもん】
我昔所造諸悪業
がしゃくしょぞう しょあくごう
皆由無始貪瞋痴
かいゆむし とんじんち
従身語意之所生
じゅうしんごい ししょしょう
一切我今皆懺悔
いっさいがこん かいさんげ
『私が知らず知らずのうちに昔から「貪(むさぼり)・瞋(怒り)・痴(愚かさ)」(三毒)という悪いおこないをおかしています。いまこそ全て懺悔します』という意味です。
三帰【さんき】
弟子某甲
でしむこう
盡未来際
じんみらいさい
帰依仏
きえぶつ
帰依法
きえほう
帰依僧
きえそう
『仏陀の弟子たるわたしは、未来永劫にわたり、仏を信じ、その教えを信じ、仏の仲間を信じます』という意味です。
三竟【さんきょう】
弟子某甲
でしむこう
盡未来際
じんみらいさい
帰依仏竟
きえぶっきょう
帰依法竟
きえほうきょう
帰依僧竟
きえそうきょう
『仏陀の弟子たるわたしは、未来永劫にわたり、仏を信じ、その教えを信じ、仏の仲間を信じぬきます』という意味です。
焼香供養【しょうこうくよう】
お焼香をするときに心掛ける偈文で、法要の一番最初にとなえられます。
願我身浄如香炉
がんがしんじょうにょこうろ
願我心如智慧火
がんがしんにょちえか
念念梵焼戒定香
ねんねんぼんじょうかいじょうこう
供養十方三世仏
くようじっぽうさんぜぶつ
『願わくは、私の身は、焚かれる香のように清らかでありたい。
願わくは、私の求める智慧の心は、火のようにきよらかにありたい。
念念に戒定の香を焚いて、過去・現在・未来(三世)のすべての仏に供養いたします。』
という意味です。
十善戒【じゅうぜんかい】
弟子某甲 でしむこう
盡未来際 じんみらいさい
不殺生 ふせっしょう
不偸盗 ふちゅうとう
不邪淫 ふじゃいん
不妄語 ふもうご
不綺語 ふきご
不両舌 ふりょうぜつ
不悪口 ふあっく
不慳貪 ふけんどん
不瞋恚 ふしんに
不邪見 ふじゃけん
『仏陀の弟子たるわたしは、未来永劫にわたり、
不殺生(ふせっしょう)むやみに生き物を傷つけない
不偸盗(ふちゅうとう)ものを盗まない
不邪婬(ふじゃいん)男女の道を乱さない
不妄語(ふもうご)うそをつかない
不綺語(ふきご)無意味なおしゃべりをしない
不悪口(ふあっく)乱暴なことばを使わない
不両舌(ふりょうぜつ)筋の通らないことを言わない
不慳貪(ふけんどん)欲深いことをしない
不瞋恚(ふしんに)耐え忍んで怒らない
不邪見(ふじゃけん)まちがった考え方をしない』
という意味です。
廻向文【えこうもん】
回向とは自分の行なった良い『行い(善根)』の功徳を他の人々に分かち与えることをいいます。
天台宗・真言宗
願以此功徳
がんにしくどく
普及於一切
ふぎゅうおいっさい
我等与衆生
がとうよしゅじょう
皆共成仏道
かいぐじょうぶつどう
『願わくは私の善い行いの果報が、この世の中のありとあらゆる存在に広く行きわたり、自分を含めたすべての人々と生きとし生けるものとが、お互いに対して深い慈しみの心を持って、自ら勤め励む道をたえまなく進んでいくことを願います』という意味です。
浄土宗・浄土真宗
願似此功德
がんにしくどく
平等施一切
びょうどうせいっさい)
同發菩提心
どうほつぼだいしん
往生安樂國
おうじょうあんらっこく
『願わくは私の善い行いの果報が、わけへだてなく平等にあらゆる人びとに伝え、ともに阿弥陀如来よりたまわる同一の信心をおこして、浄土の往生する道を歩んでいきたい。』という意味です。
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