正月は、日本の暮らしの中で特別な空気をまとった時間です。初日の出を待つ静けさ、玄関先に立つ門松、湯気の立つ雑煮の香り。こうした一つひとつの情景には、長い年月をかけて受け継がれてきた意味や願いが込められています。
このページでは、正月にまつわる行事や飾り、食べ物、遊びなど、日本各地で親しまれてきた風物詩をまとめています。由来を知りたいとき、文章や創作の資料を探しているとき、あるいは季節の言葉を確かめたいときにも、自然に役立つ一覧です。正月という時間を、少し立ち止まって味わうきっかけとして読んでいただけたらと思います。
正月の風物詩一覧|日本の年始を彩る行事・飾り・食の風景
元日〜松の内|新年を迎える基本の行事・しきたり
元日から松の内にかけては、年のはじまりを祝いつつ、歳神さまを迎えて無事と福を願う期間です。家の内外を整え、挨拶を交わし、節目ならではの習わしを重ねていきます。
- 元日(元旦) — がんじつ(がんたん)|日本の年中行事
1月1日。新しい年の始まりを祝う日で、歳神さまを迎える節目とされます。 - 三が日 — さんがにち|日本の年中行事
1月1日〜3日。新年を寿ぎ、初詣や家族の団らんなどで静かに過ごす日取りとして広く知られます。 - 松の内 — まつのうち|日本の年中行事
門松などの松飾りを飾って歳神さまを迎える期間。一般に関東は1月7日頃まで、関西は1月15日頃までとされることがあります。 - 年始の挨拶(年始回り) — ねんしのあいさつ|日本の風習
親族や世話になった相手に新年の挨拶を伝える習慣。松の内に行う地域も多いとされます。 - 年賀状 — ねんがじょう|日本の風習
新年の挨拶をはがきで届ける習慣。元日に届くよう準備する家庭も多く、正月の風物詩として定着しています。 - 初詣 — はつもうで|日本の年中行事
新年最初の神社・寺院参拝。1年の無事や願いごとを祈る行事として広く行われます。 - 初日の出 — はつひので|日本の風習
年の最初の日の出を拝む習慣。新しい年の幸先を願う行いとして親しまれています。 - お年玉 — おとしだま|日本の風習
子どもなどに金品を贈る正月の習慣。歳神さまからの授かりものに由来すると説明されることもあります。 - 初夢 — はつゆめ|日本の風習
新年に見る最初の夢で、その年の吉凶を占うといわれます。いつの夜の夢を指すかは時代や地域で諸説あります。 - お屠蘇 — おとそ|日本の正月習慣
生薬を浸した祝い酒をいただき、邪気を払い無病長寿を願う習慣。中国に起源があり、日本では平安期の宮中行事として伝わったとされます。 - 若水 — わかみず|日本の正月習慣
新年最初に汲む水。清浄さや厄除けの意味合いで語られ、正月のしきたりの一つとして紹介されます。 - 書き初め — かきぞめ|日本の年中行事
新年に初めて筆をとり、抱負や吉祥の言葉を書く行事。宮中行事の名残として説明されることがあります。
正月飾り|歳神さまを迎える家のしつらえ
正月飾りは、歳神さまを家に迎え入れるための目印であり、清浄と祝意を表すものです。素材や形にはそれぞれ意味があり、松の内まで飾るのが一般的とされています。
- 門松 — かどまつ|正月飾り
松や竹を用いた正月飾り。歳神さまが降り立つ依代(よりしろ)とされ、家の門口や玄関に飾られます。 - 松飾り — まつかざり|正月飾り
松を中心に用いた飾りの総称。常緑の松は生命力や不老長寿の象徴とされます。 - しめ縄 — しめなわ|神道の結界
神聖な場所を示す縄。正月には玄関や神棚に飾り、清浄な空間を保つ意味があります。 - しめ飾り — しめかざり|正月飾り
しめ縄に紙垂や縁起物を添えた飾り。外部からの穢れを防ぎ、福を招くとされます。 - 鏡餅 — かがみもち|正月供物
丸餅を重ねた正月の供え物。歳神さまへの供物であり、円満や重なり合う福を表すとされます。 - 橙 — だいだい|縁起物
鏡餅の上にのせる柑橘類。「代々」に通じ、家系繁栄の象徴とされます。 - 裏白 — うらじろ|正月飾りの植物
葉の裏が白いシダ植物。潔白や長寿を意味し、鏡餅や飾りに添えられます。 - 昆布 — こんぶ|正月の縁起物
「よろこぶ」に通じる語呂合わせから、正月飾りやおせちに用いられます。 - 南天 — なんてん|縁起植物
「難を転じる」に通じ、災い除けとして正月飾りに用いられることがあります。 - 扇 — おうぎ|正月の縁起物
末広がりの形から繁栄を象徴する縁起物。飾りや祝儀の意匠として使われます。 - 俵飾り — たわらかざり|正月飾り
米俵を模した飾り。五穀豊穣や食の恵みへの感謝を表します。 - 干支飾り — えとかざり|正月飾り
その年の十二支を表した飾り。新年・その年の象徴として親しまれています。

コメント