百鬼夜行の有名な妖怪一覧|夜を練り歩く妖怪たち

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がごぜ(元興寺)
奈良・元興寺に現れたという鬼。髪を逆立てて大声で叫ぶ姿が印象的で、古い宗教的背景を持ちながらも妖怪絵巻にしばしば登場する。

やなり(鳴屋)
家屋の中で謎の音を立てる妖怪。家鳴りの現象を擬人化したもので、姿は見えないこともあるが、絵巻では目に見える存在として描かれることも。

ぬりかべ
人の行く手を遮る透明な壁のような妖怪。行列では前方に立ちふさがる形で描かれ、人を迷わせたり立ち止まらせたりする役目を担う。

てのめ(手の目)
手のひらに目があるという奇怪な妖怪。視覚をテーマとした恐怖を象徴しており、絵巻に登場することで異様さを強調する。

化け灯篭(ばけとうろう)
灯篭が妖怪化した存在。火を灯しながら進むため、百鬼夜行の照明役とも言える。目や口があるものとして描かれることが多い。

火間虫入道(ひまむしにゅうどう)
巨大な頭部と炎をまとった入道型の妖怪。目が光り、行列の中でも異彩を放つ。名前の由来は諸説あるが、火の妖怪として定番。

百目(ひゃくめ)
全身に無数の目がついている妖怪。『画図百鬼夜行』に描かれており、不気味さと異形の象徴として知られる。

じょろうぐも(絡新婦)
美しい女性が姿を変えた蜘蛛の妖怪。人間を誘惑して捕食する。行列の中では艶やかさと恐怖を兼ね備えた存在として登場。

くろうねり(黒うねり)
白うねりの対になる存在とされる黒い布のような妖怪。ややマイナーだが、暗い背景の中で際立つ存在として描かれることがある。

けうけげん
毛の塊のような妖怪で、人の気配を感じて隠れたり現れたりする。江戸時代の絵巻では一角にちょこんと座っていることが多い。

うわん
「うわーん」と叫ぶ声のみが聞こえる妖怪。姿は不明とされるが、絵巻では顔だけの形で描かれることもあり、恐怖心を煽る存在。

ひょうすべ
九州地方に伝わる、河童に似た水の妖怪。頭が大きく体毛が濃い。河童よりも乱暴な性格で、百鬼夜行では水棲妖怪として登場することも。

わいら
山の中に出没する獣のような妖怪で、姿がはっきりしないが、大きな爪や牙を持つ。絵巻においては、山の異形の一体として登場する。

まくらがえし
寝ている人の枕をひっくり返したり、寝相を変えさせる妖怪。幽霊的存在に分類されるが、百鬼夜行でも睡眠を乱す者として登場することがある。

ぬりぼとけ
仏像のような姿をしながら、どろりとした塗料状の身体を持つ妖怪。死や信仰への皮肉的な存在として絵巻に描かれることがある。

ぬれおんな
全身が濡れた女性の妖怪。海辺や雨の中に出没し、男性を誘う。百鬼夜行では艶やかさと不気味さを持ち合わせた存在として描かれる。

 

📚 百鬼夜行が描かれた主な文献・絵巻

『百鬼夜行絵巻』(作者不詳/室町時代~江戸初期)
概要:
現存する最古の百鬼夜行の絵巻。室町~江戸初期にかけて複数のバージョンが制作されており、京都・大徳寺、真珠庵などに所蔵されている。

特徴:

  • 多くは文字なしで、妖怪の行列だけを描写。
  • 一体一体が個性的で、擬人化や道具の変化が多く見られる。
  • 一貫した物語性は薄いが、視覚的インパクトが強い。

 

鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776年)

概要:
江戸中期の絵師・鳥山石燕による妖怪画集。文字と図の両方を交えて構成されており、百鬼夜行という概念を視覚と物語で深めた。

特徴:

  • 妖怪に名前・逸話・解説を添える形式。
  • 石燕独自の創作や民間伝承を元にした描写が多い。
  • 「百鬼夜行」「今昔百鬼拾遺」「百器徒然袋」など、複数の作品群が存在。

『今昔百鬼拾遺』(鳥山石燕/1779年)

概要:

『画図百鬼夜行』の続編にあたる。よりマイナーな妖怪や土地伝承を取り上げている。

特徴:

  • 鳥山石燕独自の想像力がさらに色濃く反映。
  • 現代の妖怪解釈にも強い影響を与えた。

 

『百器徒然袋』(鳥山石燕/1781年)

概要:

古道具が妖怪化した「付喪神(つくもがみ)」をテーマとした画集。

特徴:

  • 傘、灯籠、太鼓などが人格を持ち行進する姿が描かれる。
  • 百鬼夜行のビジュアルスタイルの完成形とも言える。
  • 唐傘お化け、一反木綿、提灯お化けなどの源流。

 

闇の中に現れる妖怪たち

百鬼夜行に登場する妖怪たちは、単なる「お化け」や「怖いもの」ではありません。それぞれが、人々の暮らしの中で生まれた想像と教訓、恐れと愛嬌を映し出した存在です。
掃除を怠った風呂場に現れるあかなめは、生活への戒め。勝手に家に上がり込むぬらりひょんは、社会的秩序への警鐘とも捉えられます。

そして何より、百鬼夜行は「ただの昔話」ではなく、今も人々の創作、感性、そして生活の中に生きています。アニメ、映画、ゲーム、小説──妖怪たちは形を変え、現代の“夜”にもひっそりと姿を見せているのです。

あなたが夜道でふと振り返ったとき、耳元で風のような声を聞いたとき、それはもしかしたら……百鬼夜行の行列が通り過ぎた余韻かもしれません。

妖怪たちの世界は、遠い過去ではなく、今ここにも息づいています。
この不思議で奥深い世界を、あなたもそっとのぞいてみませんか?

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