17. ムジナ(狢)/タヌキ
- 本来は妖怪的存在だが、稲荷系の分派で神聖視される例あり。
- 特に「信楽焼のタヌキ像」が商売繁盛の象徴とされる。
- 狐との区別が曖昧な地域もある。
18. 白馬(しろうま)
- 神聖視された馬。特に神事で奉納される際には「神馬(しんめ)」として扱われる。
- 「白馬節会(あおうまのせちえ)」では新年に白馬を天皇に見せることで厄除けを行った。
19. 猿(さる)
- 象徴:災厄除け、結界の守護
- 神使としての例:日枝神社(比叡山の山王信仰)では神猿(まさる)として祀られる
- 「魔が去る(まさる)」という語呂合わせも。
- 山王鳥居にもその姿が残る。
20. 雷獣(らいじゅう)
- 落雷とともに現れるとされる獣。猫や狐、鼬(いたち)に似た姿。
- 雷神の使いと考えられた地方伝承も存在。
21. ヤマカガシ(蛇の一種)
- 普通の蛇よりも特に神聖視される例あり(主に山の神信仰と関係)
- 独特の色合いや生態から「神の使い」と信じられた地方も。
22. カモシカ(山の神の使い)
- 山岳信仰・修験道で重要。
- 山神の使いや象徴として信仰された。
- 神道では狛犬の代わりに使われる地域もまれにある。
23. 犬神(いぬがみ)
- 地域:四国(特に高知県・愛媛県)、九州南部
- 性質:
- 呪術・祟りに関わる犬の霊。憑き物として知られるが、信仰する家系では守護霊的に扱われる。
- 「犬神筋(いぬがみすじ)」と呼ばれる血筋の人々に関する伝承多数。
- 霊獣的側面:
- 実際には畏怖と崇敬が混ざった存在。
- 神格化された犬の霊が家を守ると信じられ、供養塔や石碑が残る地域もあり。
24. 管狐(くだぎつね)
- 地域:東北地方、関東(特に茨城・栃木・群馬)
- 性質:
- 竹筒や管に入るほど小さな霊狐。憑き物神(つきものがみ)の一種。
- 特定の家系に仕え、財運をもたらすと信じられる反面、祟りや呪術にも関わる。
- 霊獣的側面:
- 単なる妖怪ではなく、霊力を持つ「精霊的存在」として信仰対象になることもある。
- 稲荷信仰との混合も見られる。
人と神のあいだに生きる聖なる存在たち
日本の聖獣・霊獣たちは、自然と神と人を結ぶ象徴的な存在です。
四神のように都市を守るものもあれば、犬神や管狐のように民間の生活と密接に関わるものもあります。
これらは時に崇拝され、時に恐れられながらも、日本人の精神文化の深層に常に寄り添ってきた存在です。
聖獣とは何か、なぜそれが大切にされてきたのか、という問いに触れていただけたなら幸いです。
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