最強の堕天使ランキング 20位〜11位
20位 パイモン(Paimon)
正体:『ソロモンの小さな鍵(Ars Goetia)』など複数のグリモアに登場する高位の悪魔で、地獄の「王(King)」の一柱。
役割・能力:多くのグリモアで「ルシファーに極めて忠実な王」とされ、芸術・学問・秘儀・地と海と風の秘密など、あらゆる知識に通じるとされる。また、爵位や支配権を与えたり、隠された宝を示したり、強力な従者の霊を遣わす力を持つと記述される。
位置づけ:アース・ゴエティアでは9番目の霊として記され、しばしば四方位を司る「方位の王」の一人とも解釈されることから、堕天使クラスの強力な悪魔として扱われる。
19位 バルバトス(Barbatos)
正体:『レメゲトン/ゴエティア』に登場する第8の霊で、「公爵(Duke)」の位階を持つ悪魔。
役割・能力:サジタリウスの星座が昇るときに現れ、4人の高位の王と多くの軍勢を従えるとされる。鳥や犬など動物の言葉を理解させる能力、過去に埋められた宝の位置を教える力を持つほか、争いを和解させる仲裁者としても描かれる。
位置づけ:ゴエティアでは王ではなく公爵だが、率いる軍団の多さと多彩な能力から中〜高位クラスの堕天使的悪魔として評価される。
18位 サリエル/サリエル(Sariel / Suriel / Saraqael)
正体:ユダヤ教・初期キリスト教文献に登場する天使で、1『エノク書』では「罪を犯した霊の上に置かれた七人の聖なる天使」の一人として言及される。
役割:エノク文献や関連する伝承では、「罪を犯した霊」や「人間の霊」を監督する役割、月や死者の魂と結び付けられることが多い。黙示文学やグノーシス文書では、魂の行方や裁きに関わる存在として描かれる。
堕天との関係:本来は「聖なる天使」として描かれる一方、一部のオカルティズムや解釈ではウォッチャー(グリゴリ)側に含められ、「月の徴を教えた天使」として堕天使的に扱われるため、本ランキングでは境界的な“半堕天”枠として下位に配置している。
17位 アルマロス(Armaros / Armoniel)
正体:『エノク書』に登場するウォッチャー(グリゴリ)の一人で、200人の堕天使を率いる20人のリーダーのうち第11番目とされる。名は「呪われた者」あるいは「ヘルモンの者」を意味するとされる。
役割:エノク伝承の解釈によれば、アルマロスは呪い・呪文・魔術を解除したり、逆に扱う術を人間に教えたとされる。「地上に降りた天使たちが広めた“禁じられた知識”」の中でも、特に危険な魔術分野を担当していた存在とみなされる。
堕天の性質:堕天を誓った首謀グループの一員として、他のウォッチャーと共にヘルモン山に降り立ち、人間社会に深刻な悪影響を与えたとされる。
16位 ペニエム(Penemue / Penemu)
正体:『エノク書』に見られるウォッチャーの一人で、名はヘブライ語の「内側(penimi)」に由来するとされる。
役割:エノク書によれば、ペニエムは人間に「苦いものと甘いもの」「知恵の秘密」を示し、さらに「インクと紙を用いた書記術(書くこと)」を教えたとされる。その結果、人間は本来想定されていなかった形で信仰や誓約を文字で固定するようになり、多くの者がそこから迷いに陥ったと批判的に描かれる。
堕天の性質:武器や戦争ではなく、文字・教育・知識そのものを通じて人類を変えたため、「知の堕天使」として特に印象的な存在となっている。
15位 コカビエル(Kokabiel / Kakabel / Kochabiel)
正体:『エノク書』に記されたウォッチャーの一人で、20人のリーダーのうち第4番目とされる。名は「神の星(star of God)」を意味するとされる。
役割:エノク伝承や後世の解説では、コカビエルは星々と星座を司る天使であり、天の軍勢・天体の動きを教えたとされる。いくつかの資料では、彼が数十万規模の霊的軍団を指揮する将軍として描かれている。
堕天の性質:一部の文献では「聖なる天使」として扱われるが、多くの伝統ではウォッチャー指導者の一人として堕天した高位天使に分類される。
14位 アラキエル(Arakiel / Araqiel)
正体:『エノク書』に登場するウォッチャーの指導者で、20人のリーダーのうち第2番目。名は「神の地(earth of God)」と訳されることが多い。
役割:エノク書とその解説によると、アラキエルは人間に「大地のしるし(地の徴)」を教えたとされる。これは地形・地質・土地の特性、あるいは地占術(ジオマンシー)に通じる知識と解釈されることが多い。
堕天の性質:サミヤザらと共にヘルモン山に降りた首謀グループの一員であり、「星のコカビエル」「太陽のシャムシエル」「月のサリエル」と並ぶ自然現象担当のウォッチャーとして、堕天後も強大な力を持つ存在とみなされている。
13位 リリス(Lilith)
正体:メソポタミアのリリトゥ系悪霊と、ユダヤ教の伝承が融合して成立した女性の悪魔像。タルムードや中世ユダヤ文献では「夜の女悪魔」「子どもを狙う悪霊」として登場する。
伝承:『ベン・シラのアルファベット』などの中世文献では、リリスはアダムの最初の妻であり、従属を拒んでエデンの園を去った存在として描かれる。その後、サマエルなどの悪魔と結びつき、多くの悪霊を産む者とされた。
堕天使との関係:元は天使ではなく人間由来の悪魔とされるが、後の悪魔学やオカルティズムでは堕天使級の強さと格を持つ“夜の女王”として扱われることが多いため、本ランキングでは特例的に高位に配置している。
12位 サマエル(Samael)
正体:ユダヤ教のタルムード以降の伝統における大天使兼「告発者」「滅ぼす者」であり、「神の毒(Venom of God)」を意味する名を持つ。
役割:第二神殿期以降の文書やラビ文学では、サマエルは天上の法廷で人間を訴える“サタン的存在”であり、しばしば死の天使・悪魔たちの長・蛇としてアダムとイヴを堕落させた張本人とされる。
堕天の性質:伝統によっては「神に仕える厳格な執行役」とされ、必ずしも神に反逆したわけではないとされるが、悪魔学やカバラではベルゼブブやベリアルに匹敵する悪魔的側面を持つため、堕天使級の存在として上位に位置づけられる。
11位 バアル/バエル(Baal / Bael)
正体:カナンの嵐と豊穣の神バアルが、中世の悪魔学で地獄の王・悪魔バエルとして再解釈された存在。
役割・能力:『ゴエティア』や『プソイドモナルキア・ダエモヌム』などでは、バエルは地獄の王、あるいは第一の霊として記され、しばしば66の軍団を率いるとされる。姿は人・猫・ヒキガエルの三つの頭を持ち、荒い声で話すと描写される。主な能力は召喚者を不可視にすることであり、時に好意や名声を得る力も付与するとされる。
堕天の性質:本来は異教の高位神格だが、中世以降のキリスト教的悪魔学では地獄の王としてルシファー配下の堕天使級悪魔に格付けされている。

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