カバラ(生命の樹)・七つの天界の天使
1. 生命の樹:10セフィロトを司る天使(主要天使)
- Metatron(メタトロン)— ケテル(Keter:王冠)
生命の樹の最上位「ケテル」を司る大天使。神に最も近い位置にあり、「天界の書記官」「御前の君」として知られる。魂の根源・創造の意志・霊的覚醒の象徴。カバラにおける最高位の天使として位置付けられる。 - Raziel(ラジエル)— コクマー(Chokmah:叡智)
「神の秘密」を守護する天使。創造の神秘・宇宙法則・深遠な叡智を司り、アダムとイブに“知識の書”を授けたとされる伝承がある。神の近くに立ち、秘儀的真理を見守る。 - Zaphkiel / Tzaphkiel(ザフキエル)— ビナー(Binah:理解)
深い理解・洞察・母性的な寛容を象徴する天使。ビナーは「大いなる母」と呼ばれ、Zaphkielはその霊的側面を守護する。沈黙と神秘を司る天使として描かれる。 - Tzadkiel / Zadkiel(ザドキエル)— ケセド(Chesed:慈悲)
慈悲・寛大さ・赦しの象徴。アブラハムに剣を止めた天使とされる伝承を持ち、人間への恩寵と保護を司る。仁愛と調和の力を象徴する天使。 - Camael / Kamael(カマエル)— ゲブラー(Geburah:裁き・力)
厳格な裁き・勇気・正義の象徴。ゲブラーは“神の力”を表し、Camaelは不義を断つ存在として働く。強い意志と選別を司る天使。 - Raphael(ラファエル)— ティファレト(Tiphereth:美・調和)
癒し・調和・生命力を象徴する天使。ティファレトは生命の樹の中心にあり、“美”と“均衡”のセフィラ。ラファエルは人間の心身の治癒と霊的な成長を導く。 - Haniel(ハニエル)— ネツァク(Netzach:勝利・感情)
優雅・勝利・美的感性を象徴。感情の統率や創造的な表現を守護し、金星との関連が深く「愛と調和の天使」として扱われる。芸術性と感受性を高める存在。 - Michael(ミカエル)— ホド(Hod:栄光・知性)
Hod に対応する体系では、ミカエルは知性と理性による“秩序の保護者”として働く。神の軍勢の指揮官として知られるが、カバラでは「理性を守る天使」としての側面が強い。 - Gabriel(ガブリエル)— イェソド(Yesod:基礎・潜在)
イェソドは“見えない世界と現実をつなぐ基礎”。ガブリエルは啓示とメッセージの天使として、潜在的な真実を現実へ橋渡しする役割を果たす。夢・直感・霊的な通信の守護者。 - Sandalphon(サンダルフォン)— マルクト(Malkuth:王国・現実)
地上界と天界をつなぐ役割を持つ天使。祈りを神に届け、人間界での霊的成長を支える。マルクトは物質世界の象徴であり、サンダルフォンは“現実界における霊的導き”を司る。
2. 七つの天界(Seven Heavens)を司る天使
ユダヤ神秘主義には「七つの天」が存在し、それぞれに統治者(Prince of Heaven)がいる。
- Gabriel(ガブリエル)— 第一の天界(Shamayim)
最下層の天を監督し、天と地の境界で人間への啓示を伝える。夢・預言・天界の光を地上へ届ける役割を持つ。第一の天界は天使の学び舎ともされる。 - Raziel(ラジエル)— 第二の天界(Raqia)
創造の秘密を司り、宇宙の構造・星辰の運行・神秘的原理を監督する階層。天的知識の守護者として重要な位置を占める。 - Haniel(ハニエル)— 第三の天界(Shehaqim)
雪・霧・穀物の倉庫ともいわれる階層で、“恵み・自然の循環”を象徴。感情・調和・繁栄の天使ハニエルがここを統べるとされる。 - Michael(ミカエル)— 第四の天界(Zebul)
神の聖なる神殿が置かれ、天界の軍団が集う領域。ミカエルはここで軍勢を統率し、悪と戦う準備を行う“天軍の本営”を守る役割を担う。 - Raphael(ラファエル)— 第五の天界(Ma’on)
祈り・讃歌・癒しが集まる天。ラファエルはここで癒しの光を導き、天使たちの調和を保つ役割を持つ。 - Gabriel(ガブリエル)/Sarakiel(サラキエル)— 第六の天界(Machon)
天使の記録庫・審判の準備が行われる階層。Sarakiel は魂の見張り番を務め、ガブリエルと共同で使命を監督するという伝承が多い。 - Metatron(メタトロン)— 第七の天界(Araboth)
神の玉座に最も近い最上階層。メタトロンはここで“御前の君”として神の命令を記録し、全天界の秩序を調整する。天界の中心地であり神聖さの頂点。
惑星・時間・方位を司る天使
1. 惑星を司る天使(Planetary Angels)
- Michael(ミカエル)— 太陽(Sun)の守護
太陽の火の光と生命力を象徴し、活力・権威・王権を司る。中世の魔術書では“太陽の力を最大化する大天使”とされ、成功・名誉・保護をもたらす存在として扱われる。 - Raphael(ラファエル)— 水星(Mercury)の守護
伝令・コミュニケーション・知識の星である水星を統括。通信・学問・商売の成功を導くとされ、古代から占星術師に重宝された。『アルマデル』では“水星の大天使”と明記される。 - Gabriel(ガブリエル)— 月(Moon)の守護
月の周期・浄化・夢・直感を司り、無意識の世界とつながる天使。女性性・感情・変化を象徴し、夜の保護者として中世魔術体系で重要視される。 - Camael / Kamael(カマエル)— 火星(Mars)の守護
火星の戦い・勇気・力を象徴し、悪に立ち向かう防衛的なエネルギーを司る。中世の天使魔術書では“軍神の霊的側面”として位置づけられる。 - Haniel(ハニエル)— 金星(Venus)の守護
愛・魅力・美・調和を司る金星の大天使。恋愛だけでなく、芸術・創造性・喜び・社交性など幅広い領域を守護する。カバラとも整合性が高い。 - Zadkiel(ザドキエル)— 木星(Jupiter)の守護
木星の“拡大・寛容・幸運”を象徴し、慈悲と繁栄をもたらす。国家・王権・法律など大きなシステムの調和に関与し、中世の魔術体系でも重要視される。 - Kafziel(カフジエル)— 土星(Saturn)の守護
土星の“制限・試練・時間”を統括。厳格で重厚なエネルギーを象徴し、学びと成熟をもたらす天使。カフジエルは「サターンの試練を越える智慧を授ける存在」ともされる。 - Phul(フル)— 月の王(王子)
『アルマゲスト』系の魔術文献に登場し、“月の王子(King of the Moon)”として、潮流・水・変容を司る。占星術的にはガブリエルが月の大天使、Phul が“月の霊的存在”として併記されることが多い。 - Bethor(ベトール)— 木星の霊的指導者
『アルマゲスト』に登場。木星の富・繁栄・健康を司る天界の支配者。人々に財産・地位・健康を与える働きを持つとされ、錬金術士に重宝された。 - Ophiel(オフィエル)— 水星の霊的支配者
水星の“知性・話術・創造”を強化する存在。Ophiel は魔術体系で実務的な能力(言語・経済)を高める霊として重要。
2. 時間・時間帯・曜日を司る天使
- Peniel(ペニエル)— 金曜日の旅・儀式の守護
『アルマデル』で、金曜日の祈り・愛・調和の儀式を監督する天使として記録される。人間の心を清め、真心を整える役割が強い。 - Barquiel(バルキエル)— 第七時(Seven Hour)の支配者
一日の時間を12の区切りで管理する古代の体系で、7時を司る天使として言及される。知性の目覚め・集中・研究を助ける時間帯の象徴。 - Mendrion(メンドリオン)— 夜の第七時間の守護
夜の天使群の一員。夜間の瞑想・夢・潜在意識の整理を助ける存在として魔術書に記録されている。 - Sabrathan(サブラタン)— 第一の夜の時間の守護
夜の最初の時間帯を監督し、眠りに入る儀式・祈り・切り替えを司る。心の浄化を促す役目を持つ。 - Sarandiel(サランディエル)— 夜の十二時間の天使
一年365日を守護する天使とされる伝統もあり、季節の境目や昼夜交代の“過渡期”に強い力を持つ天使として扱われる。
3. 方位・風・地理を司る天使(Directional Angels)
- Uriel(ウリエル)— 東の守護
「神の光」を象徴し、東方の光・知恵・新しい始まりを司る。多くの伝統で東の大天使として描かれ、啓示・学び・創造を導く。 - Raphael(ラファエル)— 南の守護
生命力・癒し・火のエネルギーを南方に象徴として配置する体系が多い。旅と治癒をもたらし、南の“活性化の方向”を司る。 - Gabriel(ガブリエル)— 西の守護
水・感情・月を象徴し、西方の変化・直感・夢を導く。占星術と魔術体系において最も標準的な“西の大天使”。 - Michael(ミカエル)— 北の守護
大地・安定・防御の象徴。北方の守護は軍事的・防衛的意味が強く、結界や儀式魔術でも頻繁に呼ばれる。 - Hadriel(ハドリエル)— 東風の守護
東風(春の訪れ・希望)を司る天使として、一部ラビ文献に登場。新生・浄化の象徴。 - Rahab(ラハブ)— 海と嵐の天使
旧約では“海の怪物”として描かれるが、後のユダヤ伝承では“海と嵐の力を抑え、神の秩序を護る天使”として扱われることがある。混乱を鎮める象徴的存在。

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